デンタルクリニック青木

関節リウマチと歯周病|
お口の炎症が関節に影響する理由を
歯周病専門医が解説

関節リウマチと歯周病|
お口の炎症が関節に影響する理由を
歯周病専門医が解説

はじめに

「関節リウマチと歯周病に関係があると聞いたのですが本当ですか?」

患者さんからこのようなご質問をいただくことがあります。

関節リウマチというと手や足の関節の病気、歯周病というとお口の病気というイメージが強く、一見すると無関係に思えるかもしれません。

しかし近年の研究により、歯周病と関節リウマチには深い関連があることが明らかになってきました。

特に歯周病菌の一種であるPorphyromonas gingivalis(P.g菌)が、関節リウマチの発症や悪化に関与する可能性が注目されています。

実際に関節リウマチ患者さんでは歯周病の有病率が高く、歯周病治療によって全身の炎症マーカーやリウマチの活動性が改善する可能性も報告されています。

今回は歯周病専門医の立場から、関節リウマチと歯周病の関係について最新の知見を交えながら解説します。

関節リウマチとはどのような病気か

関節リウマチは、自分自身の免疫が誤って関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。

主な症状として

・朝の手のこわばり
・手指や手首の痛みや腫れ
・関節の変形
・倦怠感や微熱

などがあります。

日本では約70〜100万人が罹患しているとされ、特に40〜60代の女性に多い病気です。

炎症が長期間続くと関節の破壊が進行し、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

近年では生物学的製剤などの治療によって病勢をコントロールできるようになりましたが、全身の炎症管理の重要性はますます高まっています。

歯周病とはどのような病気か

歯周病は歯周病菌によって引き起こされる慢性感染症です。

初期には

・歯磨きで出血する
・歯ぐきが腫れる
・口臭が気になる

といった症状がみられます。

しかし痛みが少ないため気付かないうちに進行し、重症化すると歯を支える骨が溶けて最終的には歯を失います。

さらに歯周病による慢性的な炎症はお口の中だけにとどまらず、全身へ影響することが分かってきています。

なぜ歯周病が関節リウマチに 関係するのか

P.g菌によるシトルリン化

歯周病菌の一種であるP.g菌は、「PAD(Peptidylarginine deiminase)」という特殊な酵素を持っています。

この酵素はタンパク質をシトルリン化する働きがあります。

関節リウマチでは、このシトルリン化タンパクに対して抗CCP抗体という自己抗体が産生され、関節の炎症や破壊を引き起こします。

つまり、

P.g菌感染

シトルリン化タンパク増加

抗CCP抗体産生

自己免疫反応

関節リウマチ発症・悪化

というメカニズムが考えられています。

慢性炎症が全身へ波及する

歯周病では

・TNF-α
・IL-1β
・IL-6

などの炎症性サイトカインが産生されています。

これらが血流を介して全身へ運ばれることで、関節リウマチの炎症をさらに増強する可能性が指摘されています。

関節リウマチ患者さんは 歯周病になりやすい?

近年、多くの研究によって、

関節リウマチ患者さんでは歯周病の有病率が高い

ことが報告されています。

また、

・歯周ポケットが深い
・歯槽骨吸収が大きい
・歯ぐきから出血しやすい
・歯の喪失本数が多い

ことも示されています。

さらに関節リウマチでは手指の変形や疼痛によって歯磨きが困難になる場合もあり、歯周病リスクをさらに高める可能性があります。

歯周病治療で関節リウマチは 改善するのか

非常に興味深いことに、歯周病治療後のリウマチ活動性改善を報告する研究もあります。

歯周病治療後に、

・CRP低下
・TNF-α低下
・DAS28改善
・炎症マーカー改善

が認められたとする報告があります。

ただし、歯周病治療だけで関節リウマチが治るわけではありません。

関節リウマチの治療には、

・抗リウマチ薬
・生物学的製剤
・運動療法
・生活習慣管理

が基本となります。

しかし歯周病治療は、全身の炎症負荷を減らす重要な要素の一つであると考えられています。

関節リウマチ患者さんが 注意したいお口のトラブル

歯磨きが難しくなる

手指の変形や痛みによって十分なセルフケアが行えなくなることがあります。

口腔乾燥

一部の薬剤や自己免疫異常によって口が乾きやすくなることがあります。

唾液が減少すると

・むし歯
・歯周病
・口臭

のリスクが高まります。

歯ぐきの出血や腫れ

慢性的な炎症によって歯周病が進行しやすくなるため、定期的な歯周病検査が重要です。

歯周病専門医の見解

歯周病と関節リウマチの関係は、近年急速に研究が進んでいる分野です。

診療の中でも、関節リウマチをお持ちの患者さんで重度歯周病が認められるケースは少なくありません。

歯周病治療は単に歯を守るだけでなく、全身の慢性炎症を軽減し、生活の質(QOL)の向上につながる可能性があります。

関節リウマチをお持ちの方ほど、お口の健康管理を意識していただきたいと考えています。

デンタルクリニック青木へご相談ください

当院では日本歯周病学会歯周病専門医が診断・治療を担当しております。

関節リウマチをはじめとする全身疾患をお持ちの患者さまにも配慮した歯周病治療を行っています。

・歯ぐきから血が出る
・歯ぐきが腫れている
・口臭が気になる
・最近歯科検診を受けていない

このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

関連記事

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・糖尿病と歯周病
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参考文献

  1. Potempa J, Mydel P, Koziel J. The case for periodontitis in the pathogenesis of rheumatoid arthritis. Nat Rev Rheumatol. 2017.
  2. de Pablo P, Chapple ILC, Buckley CD, Dietrich T. Periodontitis in systemic rheumatic diseases. Nat Rev Rheumatol. 2009.
  3. Fuggle NR, Smith TO, Kaul A, Sofat N. Hand to Mouth: A Systematic Review and Meta-Analysis of the Association between Rheumatoid Arthritis and Periodontitis. Front Immunol. 2016.
  4. Gualtierotti R, et al. Rheumatoid arthritis and periodontitis: recent advances on a complex interaction. Clin Exp Rheumatol. 2024.
  5. Erciyas K, et al. Effects of periodontal therapy on disease activity and systemic inflammation in rheumatoid arthritis patients. Oral Dis. 2013.

 

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