デンタルクリニック青木

歯周病予防に効果的な食べ物とは

歯周病予防に効果的な食べ物とは

日本歯周病学会 専門医
代々木 デンタルクリニック青木
院長 青木栄人

食生活の改善が歯周病予防に繋がる

歯周病学会専門医、デンタルクリニック青木の院長を務めます青木栄人です。
今回は「歯周病予防に効果的な食べ物」について、どんなものがあって、どのように効果があるのかに着目して説明します。

⑥ メインテナンス

歯周病と食事の関係

歯周病は、お口の中だけの問題と思われがちですが、毎日の生活の質や食事、さらには全身の健康に大変深く関わっています。歯周病が進行すると、歯茎の腫れや出血が生じ、歯がグラグラしてきます。それにより固いものが噛みにくくなったり、痛みが生じたりします。結果として日々の食事がつらいと感じ、食欲の低下や、味覚の異常、栄養バランスの悪化へとつながってしまいます。歯周病の治療とともに日々の食事を少し工夫することで、歯周病の症状を和らげたり、進行を食い止める助けとなるかもしれません。
今回は歯周病と食事の関係について解説し、これからの食事改善のヒントを見つけてください。

歯周病を予防する効果的な食べ物とは?

歯周病予防には、抗炎症作用や抗酸化作用のある栄養素を含む食品が効果的です。特にビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な食材は、歯茎の健康維持に重要な役割を果たします。また、これらの栄養素は免疫力向上にも寄与するため、お口の中の細菌と戦う力を高める効果も期待できるのです。日常的に意識して取り入れることで、歯周病予防の大きな味方となります。

1.歯周病による炎症を抑える効果

歯周病が進行すると、歯茎に炎症が起こり、腫れや出血といった症状が現れます。このような炎症を和らげるためには、抗炎症作用を持つ栄養素を摂取することが効果的です。近年ではオメガ3脂肪酸カテキンなどが注目されています。歯周病が進行すると、炎症反応によって歯茎の組織が破壊されやすくなりますが、オメガ3脂肪酸を摂取することで、この炎症のプロセスを穏やかにする効果が期待できます。オメガ3脂肪酸を豊富に含む食材としては、サバ、イワシ、サンマなどの青魚が代表的です。煮魚や蒸し料理にすることで、歯が痛いときでも比較的食べやすく、無理なく栄養を摂取できます。

オメガ3脂肪酸とカテキンの効果
・73歳の高齢者を対象としたオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)摂取量と歯周病の発生・進行との関連について、DHA・EPA 摂取量の少ない者の歯周病発生・進行リスクは多い者と比較して約1.5倍である。 (Iwasaki M. et al. Nutrition 2010)
カテキンは緑茶に含まれる成分で、歯周病の原因となる細菌の増殖を抑制し、歯茎の炎症を抑える効果が期待できます。
毎食後に緑茶を一杯飲む習慣をつけることで、食事で付着した細菌を洗い流し、カテキンの抗菌効果で口内環境を整えることができます。
・緑茶のカテキン成分 EGCG は歯周病関連細菌に対して強い抗菌効果を示す。(Higuchi M. et al. Arch Oral Biol 2024)

2. 免疫力をサポートする効果

歯周病の予防と改善には、口腔内環境を整えることだけでなく、全身の免疫力を高めることが重要です。免疫力が低下すると体は歯周病原細菌に対する抵抗力が弱まってしまいます。口は外界から細菌やウイルスなどが入ってくる入り口ですので、歯肉の免疫力はとても重要です。歯周病の予防としても免疫力を高めるような食材を取り入れることが重要です。
【乳酸菌】は、腸内環境を整えるだけでなく、お口の中の善玉菌を増やし、歯周病菌などの悪玉菌の増殖を抑制する働きが期待できます。これにより、口腔内細菌のバランスが改善され、歯周病の予防や進行抑制につながると考えられています。毎日の食習慣に無糖ヨーグルトを取り入れることで、美味しく手軽に口腔内環境のケアができます。

ヨーグルトの効果と咀嚼
・ヨーグルトの摂取は口腔内細菌叢の構成を調整することで、歯周病による歯の喪失リスクの低下と関連している。(Ma J. et al. J Clin Periodontol 2022)
唾液は、私たちの口の中で非常に重要な役割を担っています。その代表が「自浄作用」、「抗菌作用」、「緩衝作用」、「修復作用」など、日々の生活の中で唾液は歯周病予防の手助けをしています。この唾液の分泌を促すには、「よく噛むこと」が効果的です。
ナッツ類や根菜類は、「噛み応えのある食材」の一つです。“よく噛もう”と意識するだけでは、なかなか噛めるようにはならないのが現実です。そこで噛み応えのある食材を選んだり、野菜を少し大きめにカットしたり、固めにゆでたりして、意識的に食事に取り入れることで、唾液の持つ様々な効果を最大限に活用し、歯周病のリスクを低減できます。ただし、歯周病で歯茎が痛い時や歯が揺れるときは、無理に硬いものを食べるのやめましょう。そのような症状が出ている時は逆に、細かく切ったり、柔らかく調理するなどの工夫が必要です。

3. 歯や歯周組織の健康維持効果

歯周病の進行を防ぐとともに健康な口腔内環境を維持するためには、歯だけでなく、歯を支える歯茎や歯槽骨といった歯周組織を強く保つことが必要です。そこで重要になってくるのが下に示す栄養素です。
【ビタミンA・ビタミンC・ビタミンE】は抗酸化作用のある栄養素の代表です。この3つはビタミンのACE(エース)とも呼ばれ、歯周病菌によって発生する活性酸素から歯周組織を守り、炎症の悪化を防ぐ働きが期待されます。
ビタミンAは歯茎の粘膜に関与し、防御機能を高めるのに役立ちます。緑黄色野菜(にんじん、ほうれん草、レバー等)に豊富です。
ビタミンCは、歯茎を構成するコラーゲンの生成に不可欠な栄養素です。ピーマン、トマト、ブロッコリー、いちご、キウイなどの果物に多く含まれています。熱に弱いため、生で食べたり、スープにして栄養を丸ごと摂ったりするのが効率的です。
ビタミンEは、血行を促進する作用があり、栄養や酸素を組織に届けて老廃物を排出するのを助けます。ナッツ類、アボカド、植物油などに含まれています。これら3つのビタミンをバランスよく摂取することが、歯周病の予防と進行の抑制につながります。
これら3つ以外にも、ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、歯の健康維持に重要な役割を果たします。さらに、抗炎症作用もあり、歯周病の予防に効果的です。ビタミンD不足は歯周病リスクを高めるという研究も報告されています。サーモンやマグロなどの魚類や卵黄、きのこなどに含まれています。また、日光浴も重要なビタミンD供給源なので、適度な外出も効果的です。

ビタミンの効果
・日本人高齢者において、血清ビタミンCの濃度が高い者の方が歯周病の有病率が低い。(Amarasena N. et al. J Clin
Periodontol 2005)
・ビタミンDはカルシウム代謝を調整したり免疫能を修飾したりすることで歯周病に影響を及ぼす可能性がある。(Hildebolt CF. J Periodontol 2008)

【カルシウム】は骨や歯を形成する主要なミネラルです。歯だけでなく歯を支える骨の健康を維持するためには、十分なカルシウムの摂取が不可欠です。カルシウムは、ヨーグルトや牛乳、チーズなどの乳製品に豊富に含まれています。また、小魚(しらす干し、煮干しなど)や、豆腐、小松菜などからも摂取できます。
【食物繊維】は歯周病において間接的に重要な役割を果たします。きのこ類やごぼう等の根菜類のように「噛み応えのある」食物繊維は、よく噛むことで歯の表面に付着したプラークや食べかすを絡め取る「自浄作用」が期待できます。
また、しっかりと噛むことで唾液の分泌を促進します。先ほども示したように、歯周病菌の増殖を抑える抗菌作用や、酸を中和して歯を守る緩衝作用など、お口の健康につながる様々な効果を発揮してくれます。

歯周病を悪化させる可能性のある食べ物

これまでに説明してきた歯周病予防に良い食品を摂ることだけでなく、悪影響を及ぼす可能性のある食品や食材を減らすことも重要です。特に糖分や脂質の過剰摂取は、口腔内環境を悪くするだけでなく、歯周病菌の増殖を促進する可能性があります。食べてはいけないというわけではありませんが、摂取量や頻度を減らす意識を持つことが、歯周病リスクを軽減する助けとなるでしょう。

 

糖分の過剰摂取

糖分は歯周病の原因となる細菌の栄養源となり、プラーク形成を促進します。スナック菓子や甘いジュースはもちろん、市販のドレッシングや惣菜にも意外とお多くの糖分が入っています。さらに粘着性の高いスナックやソフトキャンデ、キャラメルなどは、歯と歯茎の間に長時間停滞しやすく、細菌が増殖しやすい環境を作ります。

脂質の多い食事を避ける理由

高脂肪食は全身の炎症を促進する可能性があり、炎症性疾患である歯周病においてもリスクを高めることが知られています。また、脂質の過剰摂取は免疫機能の低下をもたらし、感染と戦う力を弱める可能性もあります。揚げ物や加工肉製品、ファストフードなどには注意が必要です。ファストフードに行くのではなく、前述した食材を用いた料理を作っていただくことをお勧めします。

今回は歯周病予防における食事の重要性を詳しく説明してきました。
ご自身の歯で生涯美味しいものを食べていくためには、日々の食事にも注意しながら生活することが重要です。
もちろん歯周病がこれらの食材で治るわけではありません。歯周病予防につながること、歯周治療におけるサポート役であることを十分にご理解ください。歯周病の進行を抑えて、健康な口腔環境を取り戻すためには歯科医院での専門的な治療と定期的なメインテナンスが不可欠です。
当院では患者様自身に現在のお口の状態をしっかりと把握していただき、どのような治療が必要で、どのように改善できるのか十分理解していただいた上で治療を進めてまいります。お口のお悩みや不安がある方はぜひお気軽にご相談ください。

デンタルクリニック青木・代々木
院長 青木栄人

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