歯磨きは、お口の中健康を保つための基本です。現在、1歳以上で毎日歯をみがく者の割合は97.4%であり、毎日2回以上歯をみがく者の割合は増加を続けており、令和4年では 79.2%でした。しかし、デンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っている者は全体で50.9%、舌清掃を行っている者は21.1%というデータがでており、約半数の人は歯間ブラシ・フロスなど(以下 補助器具とします)を使用していないということがわかりました。
※令和4年 歯科疾患実態調査結果

しかし実は、歯ブラシだけでの清掃では十分ではないことが殆どです。ある研究では、歯ブラシのみでは全体の60%しか落とすことができないという結果がでており(山本他 日歯周誌 1975年より)、残りの40%が虫歯や歯周病を起こす原因になっていると言われています。
この残りの40%を落とすことができるのが、補助器具です。補助器具を正しく使うだけで虫歯・歯周病が予防できると考えると、使わないで終わりにすることは損している気持ちになりませんか？
特に、歯と歯の間や歯肉(歯茎)の境目など歯周ポケットとと呼ばれる歯と歯肉の溝は、ブラシだけではどうしても届きにくい部分です。補助的な清掃用具を使用することで、効果的にケアすることが可能になります。
それでは、補助器具の重要性について考えてみましょう。

補助器具の種類

まず、補助器具には、デンタルフロス、歯間ブラシ、タフトブラシ、舌ブラシなどがあります。これらの道具は、それぞれ異なる役割を持ち、歯ブラシのみでは取り切れない部分の食べカスやプラークを除去するために役立ちます。これからひとつひとつ、ご紹介いたします。

①デンタルフロス
歯と歯の間や、歯周ポケットと呼ばれる歯肉の溝に入り込んだプラークも効果的に取り除くことができます。

②歯間ブラシ
歯と歯の大きな隙間や、ブリッジのダミーの歯の下などにも対応できます。

③ワンタフトブラシ
歯ブラシより毛の部分が小さいブラシです。歯並びが悪く重なっている部分や矯正器具を装着している部分、親知らずが半分生えてきている部分、一番奥の歯の裏側、孤立して生えている歯などに対する清掃に適しています。

④舌ブラシ
「舌苔」と呼ばれる舌の表面についた汚れを落とすことに適しています。舌苔を除去することで、口臭予防にもなります。

補助器具の使用方法について

補助器具の使用は、歯科医師や歯科衛生士からのアドバイスを受けることが重要です。自分に合った道具や使用方法を理解することで、効果的な口腔ケアが実現します。使用方法や用具の選択を誤ってしまうと、適切に清掃できないだけでなく、かえって歯肉の状態が悪化してしまう可能性も考えられます。特に歯間ブラシでは、サイズ選択を誤ると、歯肉の退縮が生じたり、歯が削れるという事例が報告されております。定期的な歯科検診を受けることで、自分の口腔状態を把握し、必要に応じて適切な清掃用具を取り入れることができます。

総じて、歯磨きだけでは不十分な口腔ケアの時代において、補助的清掃用具は不可欠な存在です。これらの道具を上手に活用することで、虫歯や歯周病の予防、口臭の改善につながり、健康な口腔環境を保つことができるでしょう。日々の生活に補助器具を取り入れ、より健康なお口を目指しましょう。

とはいえ、今まで全く活用してこなかった方にとってはハードルが高いと思います。私自身、フロスを使い始めたのは衛生士の専門学校に通い始めてからです。重要性を知ると使わずにはいられませんが、それでもめんどくさいと感じる日もあります。初めての方は、まず、週一度からでも良いです。自分の中で小さな目標を立てて、いずれ毎日できるようにステップアップしていただければと思います。

デンタルクリニック青木では、歯周病の検査や虫歯のチェック、歯石取りに加えて、歯の健康状態や歯磨き指導、患者様個人にあった補助器具のご提案をさせて頂いております。何かご質問がございましたら、お気軽にご相談くださいませ。