
歯周病予防で心血管疾患の予防を
心血管疾患と歯周病の関係
定期的な歯科受診は心血管疾患の予防に繋がる
歯周病学会専門医、デンタルクリニック青木の院長を務めます青木栄人です。
今回は「心血管疾患と歯周病の関係」として、定期的な歯科受診が心血管疾患の予防に繋がることを説明します。
心血管疾患と歯周病の関係
歯周病は歯の病気で、心臓とは関係ないでしょ?と思われている方も多いのではないでしょうか。
歯周病は単なる口腔内感染症ではなく、全身性炎症を惹起する慢性疾患であり、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの発症リスクを高めることをご存知でしょうか。
その関係性については、これまでに数多くの報告がされています。
・歯周病患者は心疾患による死亡リスクが25%高い。(DeStefano F. et al., Ann Intern Med 1993)
・歯周病のある人は心血管疾患の発症リスクが約1.14~1.59倍高い。(Bahekar AA. et al., Am Heart J 2007)

歯周病の炎症性物質が血管から全身に波及
1. 炎症性メディエーターの全身波及
歯周病により、IL-1β、IL-6、TNF-α、CRP などの炎症性サイトカインが持続的に血中を循環し、動脈内皮細胞を傷害。これが動脈硬化の進行や不安定プラークの形成につながります。
2. 歯周病原菌の血行性移行と動脈プラーク形成
歯周ポケットの炎症部位から歯周病菌(Porphyromonas gingivalis, Treponema denticola, Tannerella forsythia など)やリポ多糖(LPS)などの様々な病原因子が血流に入り込み、全身の組織や臓器に移行した結果、動脈硬化部位にも集積し、さらに同部位の炎症を悪化させます。
3. 血栓形成の促進
歯周病菌の一種であるPorphyromonas gingivalisなどの表層タンパクが血小板と直接結合し、凝集を促進。これが冠動脈での血栓形成や急性心筋梗塞の引き金になる可能性が示唆されています。

歯周病治療は心血管疾患予防になるのか?
歯周病の治療により、血管内皮細胞の機能が改善したり、歯周病の患者では、血中の善玉コレステロール(HDLコレステロール値)が、歯周病でない人たちと比較して、低いことが明らかとなっています。
さらに、2024年には広島大学の研究グループから心房細動という不整脈を持つ患者において、歯周病の治療が心房細動の再発を61%抑制したという結果が報告されています。(Miyauchi S. et al., J Am Heart Assoc 2024)
心血管疾患をお持ちの方が必ずすべきこと
1.歯科において主治医を持つ
2.歯科医院での定期的なチェック(3ヶ月ごとが目安)
3.毎日の歯磨きを丁寧に(特に歯と歯ぐきの間)
4.フロスや歯間ブラシも活用
5.歯ぐきが腫れる・出血がある時はすぐ受診
歯周病学会専門医から
心血管疾患をお持ちの方の中には、「歯医者に行くのは不安」「歯のクリーニングで何かリスクはないの?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。当院では、心血管疾患をお持ちの方でも安心してメンテナンスを受けられる環境を整えています。心疾患の種類や状態によっては、治療にあたり抗菌薬の予防投与が必要な場合があります。当院では、主治医と連携し、安全に治療を受けられるようサポートします。もちろん心血管疾患をお持ちでない方も定期的な歯科受診は心血管疾患の予防に繋がります。
病院になかなか行かない方も、歯科になかなか行かない方も症状が出ていなくても検診に行くことを推奨します。歯科にも定期検診が保険適用で受けられますので是非受診ください。当院でも行っております。
また、医科の皆様も私は歯周病学会専門医ですので、心血管疾患に罹患されている方をご紹介いただければ責任
を持って治療を行わせて頂きます。また、患者さまのご希望があればご紹介や、口腔内の改善の状態をお伝えさせ
て頂き、医科・歯科・患者様連携で健康をサポートできればと考えております。
健康はお口から気付くこと、分かることも多くあります。
何か気になることがあればお気軽にご相談ください。
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Hideto.Aoki